楽器NEWS|ギター・ベース
2009.09.01
サウンドスタジオノアでは "クルーズマニアックサウンド"へのリペア&メインテナンス及び改造等のご依頼を代行にてお受けします。今回、ご依頼があった場合の実際の流れをご紹介します。 【1】 ○店頭にリペアカード(申込用紙)に記入、提出して頂きます。 ○受付担当スタッフと御依頼内容・納期等の打ち合わせを行います。 (事前にお電話等でお問い合わせ頂けるとスムーズに対応可能です) ○楽器をお持ち込み頂き、窓口にてお預かりいたします。ケースを御用意ください。 【2】 ○後日、受付スタッフよりお見積もりと納期の連絡をさせて頂きます。内容を確認頂き、ご指示ください。 【3】 作業完了までお待ちください。 【もしくは】 受付窓口にて返却いたします。 注) 当初お出ししました納期は状況によって前後する場合がございます。 予めご了承の上、余裕のある期間を設定してください。 注2) 依頼内容について?クルーズのスタッフが 直接お問い合わせをさせて頂く場合がございます。 【4】 ○作業完了をお知らせします。楽器をお渡ししますので受付窓口までお越しください。 ○楽器を受け取り、状態を確認してください。 ○スタジオをご予約頂ければ、アンプ等での音だしチェックも可能です。 【5】 ○受付窓口でお支払いください。 以上、お支払いが済みましたら、完了となります。 質問・お問合せはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ:サウンドスタジオノア駒沢店 【TEL】03-5433-5711 続いて、実際に修理や改造等を行う株式会社クルーズ、担当の村田氏にお話を伺いました。 株式会社クルーズは、創立28年を迎える楽器メーカーです。 80年代に小規模なギターパーツを取扱う店舗から始まりました。その店舗で日々プロミュージシャンや楽器愛好家の皆さんとコミュニケーションをはかったり、また修理や調整に持ち込まれたギターやベースをセットアップしているうちに、ミュージシャンのための楽器製作(いわゆるカスタムギターやエフェクタといったアウトボード関連)の必要性を感じ、楽器の製作を始めました。 その後、多くのミュージシャンの方々に喜んでもらったのをきっかけに、同じようにクオリティーの高い楽器を多くのエンドユーザーの方々にも使用してもらいたいとの願いが叶い、「クルーズマニアックサウンド」という楽器メーカーとして成長するまでになりました。 また、「メイドインジャパン」にこだわるわけでも海外製品にこだわるわけでもなく、自分たちが良いと思ったものを取扱う「Hoochies」(フーチーズ)という楽器店を平行してオープンしました。 フーチーズでは、輸入楽器や80年代後半から90年代にかけての大規模なラックシステム、またペンザ・サー、ジェームス・タイラー、サドウスキーといったカスタムギター全盛期の非常に重要な楽器を取り扱い、時代の最前線を行く楽器と同時に、貴重なヴィンテージ楽器も店頭に並べていました。 また、エレクトリック以外にもマーティンやギブソン、さらにウィリアム・ラスキン等の多くのカスタム・アコースティック、ベネデットやバスカリーノといったフルアコースティックも取扱ってきました。 余談ですが、当時日本に入荷したポール・リード・スミスのギターやジェームス・タイラーのギターを初めて取扱ったのが、世田谷区に店舗があった頃のフーチーズでした。PRSのドラゴン・シリーズ等、今となってはレアモデルとなり、値段が高騰してしまったものもあります。 話を戻します。クルーズの製品はギター、ベース、エフェクターまで全てを日本国内で製造しています。日本で生産される楽器のレベルは、80年代のそれとは比べものにならないほどに成長しました。今では海外のメジャーブランドが日本の楽器メーカーの工場へOEM(委託生産)を行うことも珍しくありません。我々クルーズは自社工場を持っているわけではありません。しかし、信頼のおける国内工場で「クルーズの基準」を理解した幅広い年齢層のビルダーたちの手によって、クルーズマニアックサウンドの製品は生産されています。 またしても余談ですが、現在多くのギターブランドが「ハンドメイド・ギター」という言葉を広告等に使用していますが、ギター作りにおいてハンドメイドでないギターなどは存在しません。すべてのギターは、ほとんどの行程を人間の手によって丁寧に製作されます。ですから「ハンドメイドギター」だから良い楽器だ、ということはないのです。大切なのは、「どういったギターを、どういったミュージシャンのために製作するか」ということだと我々は考えています。製作サイドのエゴの固まりのようなギターを、喜んで弾くミュージシャンはいないハズです。 私たちは、「こういったギターを必要とするミュージシャンが増えているのではないか?」「最近、お客様の要望が似てきた」というポイントから楽器作りをスタートします。 また、「新しいパーツでこういった音を狙ってみよう」「このピックアップで60年代のギターのアップデート・モデルを製作しよう」というスタートもあります。 ですから「多くの皆さんが欲しい楽器ではないが、特定のスタイルのミュージシャンにとって必要な楽器」と「非常にクラシックでスタンダードな楽器」その両方を製作・プロデュースしているブランドだと言えます。現在生産される製品ラインナップはエレクトリックギター、ベース、アコースティックギター、エフェクター、そしてウクレレや小物です。さらに輸入元としてBSXアップライトベース(ドリフのリーダーである故いかりや氏がCMで使用していたベースです)、そしてスタジオノアをご利用の皆様の中にはご存知の方もいらっしゃると思いますが、TONE TUBBYというスピーカーユニットを輸入しています。 また、クルーズのギターやベースは、たとえばFENDERの創立者、偉大なる天才レオ・フェンダーのコピーをしているわけではありません。ギブソンのテッド・マッカーティー氏、またまだ現役のマーシャルアンプのジム・マーシャル氏やエレクトロハーモニクスのマイク・マシューズ氏、さらにはムーグ博士といった先人達のやり遂げた仕事の「後」からスタートしています。これは後追いということではなく先人たちが「具現化し、成し遂げたこと」を引きついで、その次のレベルから我々の仕事がスタートしているということです。 楽器に100%の完成、というのは存在しません。たとえばヴィンテージの楽器は大変素晴らしいものですが、100点満点の楽器ではありません。もちろん、不満な点も多くあります。それをさらに発展させて、新しい楽器を考えていくのも我々の仕事です。そうでなければ、たとえば70年代でロックという音楽とそれに関わるエレクトリック楽器の歴史は終わっていたハズだと思いませんか? ですから50年前と同じ仕事をしているわけではありません。しかし50年前の良いものは忘れずに残していかなければなりません。我々はヴィンテージの良さも最新機材の良さも理解しなければ、おもしろい楽器は生まれないと考えております。 上記したように、我々はミュージシャンのために楽器を製作しています。ですから楽器をリペアに出す場合は、「こうしたい」「ここが気に入らない」「こういう演奏をしたときに、こんな風に調子が悪い」というようにハッキリとご自分の不満を伝えてください。ただし、我々は無理な修理は行えませんので、「この楽器のその部分は直せません」とストレートにお伝えすることもあると思います。しかし、それは技術的な問題とは別の意味の「その楽器に手を入れるべきではない箇所」であったりします。楽器修理とはお客様の依頼通りに修理を遂行するものではなく、お客様の不満を解消する、ということだと考えています。ですから「もしその音が欲しいのなら他の楽器のほうが良いと思います」「その楽器とこのパーツの組み合わせはお勧めできない」と言うことも多々あると思いますが、真剣に楽器とミュージシャンのことを考えると、正直に向き合わなければいけないときがあります。どうかご了承ください。
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