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【コラム】音楽とお仕事 第7回「楽器作りとこだわり」/森 良彰(ローランド株式会社 パーカッション開発部)

2009.11.18

「楽器作りとこだわり」  ローランドのパーカッション開発部で設計をしています。楽器メーカーでの私の仕事を簡単にご紹介したいと思います。  設計と言ってもいつもコンピュータで図面を描いているわけではなく、取引先との打ち合わせやライブのサポート、また海外出張に出向くことも多多あります。収集した意見やアイディアを元に試作・設計・試験を経て製品化し、さらに市場からフィードバックを得る。このサイクル全体が設計の仕事だと言えるでしょう。  私のように製品の形状を設計すること以外に、サウンドデザインやソフトウェアプログラムの担当者などからも意見が出され、一緒になって製品を完成させます。それぞれの担当者がこだわりを持ってデザインしていくので、ある時は意見が合わないこともあります。でも良い楽器にしたいという思いは全員が同じです。  作曲やライブをされる方なら、思わずニヤリとしてしまうようなこだわりを、隠し味のように作品や演奏に盛り込むことがあるのではないでしょうか。全員が気付かないかもしれないけれどとても大切なもの。このこだわりを楽器に盛り込めるのが、設計の面白さのひとつです。  先日デビューしたTD-20KXでは、多くのこだわりを集約して設計しました。「プロが使う楽器ってどういったものだろう」という設計やデザインの基本となる考え方を整理する作業からスタートし、感触や特性はもちろん、生の打音までも心地良いものを実現するために、材質や形状の異なる部品を数えきれない組み合わせで試していくのです。最後は、照明が当たった時の光の反射具合や各部品の仕上げの質感、ノブひとつの向きや締め心地に至るまで細部に渡る検証を行いました。  V-Drumsは、多くのミュージシャンに愛用していただいてきましたが、そういったこだわりを説明すると感心されることが多いんですよ。ぜひ、そういった視点で楽器を使ってみてください。新しい発見があるかもしれません。 V-Drumsホームページ www.roland.co.jp/V-Drums td-20kx.jpg Roland TD-20KX 森 良彰 ローランド株式会社 パーカッション開発部在籍 V-Drumsの機構設計担当。2004年にローランドに入社。後世まで愛されるような楽器を残したいと夢見ている。