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音楽コラム集|編集部コラム

【コラム】お笑い芸人のテーマソング?出囃子とは

2020.05.02

音楽とお笑い、一見あまり関係のないもののように感じられるが、果たしてそうだろうか?

NOAH BOOKを読んでいただいている方の中に、お笑いをみることが好きな方はいるだろうか?

また、その中でも実際にお笑いライブに行ったことのある方はいるだろうか?

ちなみに、筆者は月に1回程度ではあるが、お笑いライブを見に行くくらいのお笑い好きである。(と言っても歴は非常に短いのでお手柔らかに...)

今回はお笑い芸人がステージに登場する際の、所謂入場曲である「出囃子」について紹介しよう。

そもそも「出囃子(でばやし)」とは?

出囃子は元々落語で使われていた、落語家が高座に上がる際にかかる音楽である。

出囃子の歴史は江戸時代に遡る。

元々上方落語のみで出囃子は使われており、江戸落語でも使われるようになったのは大正時代からである。

出囃子は落語家ごとに使われる曲目が異なっており、通は曲を聴いただけでどの落語家が出てくるのかを知る。

そして、この落語の出囃子の流れを汲んで、現代のお笑いでも出囃子が定着しているのである。 出囃子に使われる曲は、お笑い芸人自らが好きな音楽にする場合や、芸名や芸風のイメージに合わせて決めることが多い。

そのため、出囃子とはそれぞれのお笑い芸人の「テーマソング」と言えるだろう。

今回はいくつかのお笑い芸人の出囃子を紹介していこう。

【M-1グランプリ決勝戦】Fatboy Slim『Because We Can』

おそらく日本で一番有名な出囃子といえばこの曲だろう。

流石にM-1グランプリを全く知らないという方はいないのではないだろうか?

2001年に始まった日本を代表する若手漫才師のコンクールである。

毎年12月にあるこのM-1グランプリの決勝戦を楽しみにしている人も少なくない。(筆者は昨年の決勝戦の日、わざわざ休みをとった程である)

漫才師であれば、誰しもこの出囃子であのステージに立ちたいと思うのではないのだろうか。

【かまいたち】RADWIMPS『イーディーピー~飛んで火に入る夏の君~』

最近ではテレビでも見かけることも多いが、昨年M-1グランプリ2019準優勝、2017年キングオブコント優勝と若手中堅芸人では随一の実力派お笑い芸人。

漫才はボケの山内氏が狂気的なキャラに扮し、ツッコミの濱家氏と口論になるスタイルのしゃべくり漫才が特徴的である。

出囃子は両者とも元々RADWIMPSのファンだったことからこの曲を使用していたという。

縦ノリのリズムがこれから始まるネタへの期待感を膨らませてくれるように感じる一曲である。

【霜降り明星】THE BEATLES『Help!』

M-1グランプリ2018にて史上最年少王者に輝いた霜降り明星。

今や世間で大人気の「お笑い第7世代」(人気若手お笑い芸人の俗称)の筆頭でも知られる。

漫才はコント漫才が中心であり、せいや氏の舞台上を動き回るボケと、粗品氏の印象的な一言ツッコミが特徴的である。

出囃子はボケのせいや氏が全く人気がなかったという自称「暗黒期」に「助けてくれ」という想いからこの曲を選んだという。

今では、その暗黒期が嘘のように若手トップの人気を誇るコンビへと成長した。

【ナイツ】YELLOW MAGIC ORCHESTRA『RYDEEN』

「寄席」と聞いて一番に思い出すお笑い芸人といえば、ナイツと答える方は少なくないのではないだろうか。

ボケの塙氏は2007年に史上最年少で漫才協会の理事に就任、現在は塙氏が副会長、ツッコミの土屋氏が常任理事として漫才協会を牽引する存在である。

漫才は主に「ヤホー漫才」と呼ばれる、塙氏が言い間違いの小ボケを連発し、それを土屋氏が一つずつ訂正していくというスタイルで進行する。

どちらかと言えば機械的とも言えるこの漫才スタイルには、テクノポップと電子音が非常にマッチした出囃子と言えるのではないだろうか。

【EXIT】Showtek ft. We Are Loud & Sonny Wilson『Booyah』

前述の霜降り明星と並びお笑い第七世代の一つに数えられる。

彼らの漫才は「ネオ渋谷系漫才」と呼ばれ、渋谷にいる若者のような服装の衣装に、チャラいパリピ口調で繰り広げられる漫才が特徴的で、特に若者の間でトップの人気を博している。

出囃子はクラブでかかっているようなチャラい曲調で、彼らのイメージにしっかりマッチしている。

また、調べてみると出囃子は自身の持ち曲である「NO MORE 恋泥棒」という情報もあるため、最近変更したのか、日や場所により使い分けているのかもしれない。

こちらの曲も持ち曲ということもあり、非常にチャラい曲となっているので是非チェックして欲しい。

EXIT featuring NUTS-ME「NO MORE 恋泥棒」

 

いかがだっただろうか?

お笑い芸人の出囃子にはそれぞれの様々な想いが込められていることがわかっていただけただろう。

今回は5つ紹介したが、出囃子はお笑い芸人の数だけ存在している。

是非、好きなお笑い芸人の出囃子をチェックして見て欲しい。そして調べてみると、実際にお笑いライブに行ってみたくなったのではないだろうか。

劇場に今まで通り行くことができようになった時には、行ったことがない方も一度お笑いライブに足を運んでみてはいかがだろうか?

それまでは、是非自宅で好きな音楽を聴きながら、自分がもしお笑い芸人になった時にどのような曲を出囃子に使うのかを妄想してみるのも良いかもしれない。