音楽コラム集|映画研究部NOAH
2021.05.22
名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。
ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。
だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。浴びせられる罵声、仕掛けられる罠...。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。
恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし...。
(引用元: http://session.gaga.ne.jp/story/ 映画『セッション』公式サイト)
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本作は音楽やジャズに詳しくない方でも楽しめるスポ根映画です。音楽版「フルメタル・ジャケット」と言っても過言ではないでしょう。予告映像で怒号を飛ばしまくっているスキンヘッドの男が鬼教師のフレッチャー。彼に認められる為、主人公ニーマンは常軌を逸した厳しい指導に耐え、血の滲むような努力をします。フレッチャーの指導に体罰や暴言は当たり前で、ニーマンが初めてバンド練習に参加した際は、彼の父親の悪口を言って罵る、ドラムスローンを投げつける、全員の前で「悔しい」と叫ばせるなど立ち直れない程の仕打ちを与えます。
見ているこちらまで心臓が締め付けられる思いになる熱演です。
厳しい指導に耐え日夜練習に励むニーマン。血の滲むような努力は比喩ではなく、彼の両手には激しい練習によるマメができ、それが潰れて練習中のドラムセットは血まみれになるほど。それでも足りず、在学中に良い関係になった彼女を「練習の邪魔」だと切り捨て、更に練習に明け暮れる毎日。手のマメに絆創膏を重ね、自身を傷つけながら激しい追い込みをするニーマンの姿は、完璧を追い求め度を越した指導を行うフレッチャーと同じく狂気に取り憑かれています。怒りに任せてニーマンが拳でスネアドラムをぶち破るシーンがありますが、これは常人には到底できません。
スタジオノアにある交換予定のスネアで試してみましたが、先に手の皮が破けそうでした。
※危険なので真似しないでください。
この映画のコピーですが、決して大げさなものではありません。
詳細はネタバレになりますので書けませんが、筆者が観た中では一番カッコよくエンドロールを迎える映画だと思っております!
息をつく間もない圧巻のラストまで、是非チェックしてみて下さい!
原題:Whiplash
上映時間:107分
配給:ギャガ
監督:デイミアン・チャゼル
キャスト:マイルズ・テラー J・K・シモンズ メリッサ・ブノワ ポール・ライザー
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