音楽コラム集
2024.06.20
ドラムにおいて一番基本のリズムを刻むものがバスドラムです。
そのバスドラムを演奏するときに必要になってくるのが、キックペダルです!(フットペダルとも言います。)
ドラムをはじめたばかりの方は、スタジオ練習をするときにスタジオに用意されているキックペダルをなんとなく使っている方も多いのではないでしょうか。
しかし! キックペダルとは言わば「足のスティック」の役割を担っているとても重要なものなのです。
スティックに比べキックペダルを所持している方は少ない印象ですが、スティックと同じようにキックペダルも自分のプレイスタイルに合ったものを持つことは非常におすすめです!
しかし、いざマイキックペダルが欲しい! と思っても、いろいろあってどれがいいかわからない...という方も多いと思うので、今回はキックペダルについてパーツや種類などを紹介していきます!
まずは基本的なキックペダルのパーツの名称を確認しましょう。
ビーター:バスドラムの打面に直接あたるパーツ。
カム:フットボードを踏んだときのチカラの向きをヘッド方向に変えるパーツ。
スプリング:踏み心地の加減やビーターの戻りの加減を調整する部分。
ストラップ(ドライブ):ビーターとフットボードをつなぐ部分。
フットボード:足を乗せるパーツ。サイズよってパワーの出しやすさやアクションのスピード感が変わってきます。
アンダープレート:土台となる部分。アンダープレートがないものもあります。
まず、キックペダルは大きく分けて2種類「シングルペダル」と「ツインペダル」があります。
シングルペダルが一般的で、スタジオなどにも常設されています。
ツインペダルは2つのフットボードがシャフトという棒状のパーツで連結しており、右側のフットボードにビーターが二つついているペダルです。左側のフットボードを踏んだときのチカラがシャフトを通して右側に伝わり、ビーターを動かす仕組みになっています。
ツインペダルは両足で演奏するので、シングルペダルではできない高速連打や細かいフレーズを可能にしてくれます。
シングルペダルかツインペダルかどちらにするかは、プレイするジャンルや自分のプレイスタイルに合わせましょう。例えばポップスやジャズなど、「ドコドコ」と連打をするような曲がないジャンルがメインの方はシングルペダルを選んでも問題ありません。逆に、ハードロックやメタルなど連打をするようなジャンルにはツインペダルが適しています。
シングルペダルかツインペダルかを決めた後は、どのドライブ方式のペダルにするかを決めましょう。
ビーターとフットボードをつなぐドライブ部分は大きく分けて3種類に分けられます。
チェーンドライブ
現在もっとも一般的なドライブ方式です。バスドラムにニュアンスを伝えやすく、コントロールとパワーのバランスが良いです。チェーンの本数でシングルチェーンとダブルチェーンに分けられ、ダブルチェーンの方がチカラの伝達が大きく安定していますが、踏み心地がシングルに比べ重くなります。初心者の方はこのチェーンドライブ、とくに予算に余裕があるのであればダブルチェーンを選ぶのがおすすめです!
ベルトドライブ
ゴムやナイロン、革などの素材でできたベルト状のドライブ方式です。アクションの軽快さが特徴で、パワーは他のものより弱めです。踏み心地に少々癖があるので好みが分かれますが、早いフットワークや細かいニュアンスを出したい人におすすめです。
ダイレクトドライブ
ビーター可動部とフットボードが金属片でダイレクトに連結しているタイプです。チカラの伝達に無駄がなく、レスポンスが速いのが特徴です。フットコントロールをダイレクトに伝えることができるので、テクニカルでスピーディなプレイに最適ですが、慣れるまでは難しいと感じるかもしれません。
ドライブ方式は種類によって踏み心地やアクションに大きく関わってくるパーツなので、実際にいろいろ試してみて自分に合ったものを選びましょう!
カムは形状によって踏み心地やアクションを決める重要なパーツです。
種類はいろいろありますが、よく採用されているものを紹介します!
真円カム
カムが回る軌道が真円になっているので、チカラの伝わり方が素直で踏み心地の癖が少ないものです。サウンドが安定しやすいので、初心者におすすめです。
偏芯カム
カムが回る軌道が楕円になっているので、ビーターが徐々に加速してパワフルなサウンドを出しやすいタイプです。また、真円カムに比べて細かい動きを出しやすいのも特徴です。
可変式カム
ひとつのカムで調整により真円と偏芯のどちらとしても使用できます。後にも紹介しますが、DW-9000シリーズはこの代表格です。
カムの種類を決めるときも実際にいろいろ試してみて決めましょう。
また、機種によってはカムを後から交換可能なものもあります。曲やジャンルによってカムを変えたい方はそのようなモデルを選ぶといいでしょう。
ビーターはバスドラムのヘッドに直接あたる部分なので、素材や形状の違いでサウンドに大きく影響を与えます。
ですが、ビーターはどのメーカーも同じ規格のものを使用しており、さまざまな種類のビーターが比較的安価に販売されています。後から交換が簡単にできる部分なので、とくにこだわりがない限り最初は深く考えなくても大丈夫です。
主な使用素材
フェルト:もっとも一般的な素材です。硬さの種類も多く、オールジャンルに対応できますが、とくにポップスやジャズにおすすめです。アタックは他のものに比べ弱めです。使用していると消耗してすり減ってしまうので定期的な交換が必要です。
ウッド:フェルトより重量があり、アタックが強く、パワーを出しやすいタイプです。しかし、ヘッドへの負担が大きいというデメリットもあります。
樹脂:フェルトとウッドの中間の重さで、跳ね返りがやや強めです。加工のしやすさから形状のラインナップが多いのも魅力的です。とくにハードロックやメタルなどにおすすめ。
主な形状の違い
円柱型(円筒型):もっとも一般的な形状です。サウンドが安定しやすく、タイトかつ音量も出しやすいのでオールラウンドに使用できます。
円球型:バスドラムとの接地面が小さいので、サウンドはタイトですがパワーは出しにくいタイプです。
立方体型(多面型):片方がフェルト、片方が樹脂でできているなど面によって素材が異なるタイプです。設置方向によってサウンドに変化が出せるので、コスパ重視の方におすすめです。
平面型(円形型):バスドラムとの接地面が大きく平面で捉えるためパワーが出しやすいビーターです。
交換型:ヘッドにあたる部分を交換することが可能なので、自分でカスタマイズできます。
キックペダルを選ぶときのポイントがわかったところで、各メーカーから出ている代表的なキックペダルを紹介します!
2000年の"ELIMINATOR"発売以来、その未体験のドライブモードで数々なドラマーを魅了してきたペダルシリーズの現行モデルが「ELIMINATOR: REDLINE」です。
ELIMINATORシリーズは、スプリングやビーターの調整だけでなく、フットボードのグリップ感・長さ・角度の調整、ドライブ部の変更などカスタマイズ性の高いモデルです。
なかでも最大の特徴とも言えるのが、「インターチェンジャブル・カムシステム」と呼ばれる、カムを自由に付け替えができるシステムです。標準装備で真円・偏芯の4種類のカムが付属し、別売りの2種類のカムを合わせれば6種類から好みのカムを選んで取り付けることができます。
安定性、パワー性、カスタマイズ性をすべてにおいてバランスのとれたシリーズなので、とりあえず迷ったときはこれを選べば間違いないと言っても過言ではないでしょう。
先ほど紹介したELIMINATORシリーズから派生したのがこのDEMONシリーズです。究極のライトフィーリングを追求したDEMONシリーズの完成度は、テクニカルプレイヤーはもちろん、幅広いジャンルのドラマーから絶大な支持を得ています。
最大の特徴は"ダイレクトリンク"のドライブ方式。自動調心ベアリングを搭載し、フットワークのパワーをありのままに伝え、フットボードとビーターの連動性が限りなくスムーズになっています。また、接続部のポジションを調整することで踏み心地の重さを変えたりと、カスタマイズもできます。
バスドラムの高速連打などテクニカルなドラムプレイをしたい方におすすめのシリーズです。
世界的ベストセラーにもなっており、ドラマーの憧れのキックペダルと言っても過言ではないのが、このDW-9000シリーズです。
可変式のカムを採用しており、真円〜偏芯までチューニングキーで自分好みにカスタマイズが可能です。踏み心地は圧倒的滑らかさを誇り、細かいところまでダイナミクスの表現ができます。踏み心地は軽いながら、明瞭なアタック感、低音がしっかりとした存在感のあるサウンドの両立を実現しています。
チェーンドライブの最高峰と言われるだけあり少々値が張りますが、予算に余裕がある方は視野に入れてみることをおすすめします!
1980~90年代に発売されていた初代FP720は惜しくも廃盤となったものの、2015年に復刻版FP720の生産が決まるほど根強い人気を誇るのがこちら。
ベルトドライブの代表格であり、シンプルかつ軽量な設計ながらスピーディなペダルアクションと同時にパワー感溢れるサウンドを追求しています。ベルトには耐久性が高くノイズを軽減するナイロン素材を採用し、ビーターアクションは鋭すぎず絶妙なペダルワークを実現します。
アンダープレートがなく、折りたたむとカバンにしまえるほどコンパクトになるところも嬉しいポイントです。
TAMAのキックペダルの中でも代表的なシリーズがこちら。
以前はハードロックなどのジャンルで好んで使われる踏み心地の重いペダルというイメージもありましたが、新型のシリーズはパワフルなサウンドはそのままにスムーズなアクションの両立が可能です。
IRON COBRAシリーズは上・中・下位機種があり、一番リーズナブルなものは7,000円台とコスパにも優れたモデルです。1台目は予算を抑えたいが失敗はしたくない! という方におすすめです。
また、さらにアクションのスピード感を求める方には「SPEED COBRA」シリーズというスピード特化型のモデルもあります。
いかがでしたか?
今回紹介したキックペダルはサウンドスタジオノア各店でレンタルできるものもあります。購入前にじっくり試してみたいという方はぜひスタジオ練習の際にレンタルして吟味してみてはいかがでしょうか。
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