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2.5 今から始めるアナログレコード入門【レビュー】

2.5 今から始めるアナログレコード入門【レビュー】

 今回、開催されたノアカレッジではアナログレコードがテーマに取り上げられた。その名も、「今から始めるアナログレコード入門」。講師にはノアミュージックスクールでDJ講師を務めるDJ TAIKAI氏を招いた。

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 現在の音楽市場において、なぜアナログレコードの需要が根強くあるのか。その答えを導くため、豊富な資料と深い知識による解説が始まった。
 まず始めは、アナログレコードの仕組みから。
 用意されたターンテーブルにアナログレコードを置き、針を落とす。音楽の視聴環境がデジタルになった昨今では、あまり見る機会がない所作だ。プレイボタンを押せば音楽が流れることに慣れた人には、針がレコードに触れる瞬間の緊張感と、それによって音が出たときには感動を覚えたのではないだろうか。
 アナログレコードの溝となったオーディオ信号を針が拾いアンプで増幅、そしてスピーカーを通して音となる。ここで聞きなれない言葉が出てきた。それはフォノイコライザーだ。アナログレコードは周波数特性をフラットのままカッティングしてしまうと、低い周波数のため溝の幅が大きくなり、収録できる時間が短くなってしまう。そこで、一定のルールに従い低域を減退させる。なので、アナログレコードをそのままプレイヤーで再生すると低域がなく高域の強調された音になってしまう。これを補正して元の音に戻すのがフォノイコライザーだ。なので、DJミキサーにはインプットにPHONO(フォノ)とLINE(ライン)があるが、ターンテーブルを使うときはPHONOを使うのだ。

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 次に、アナログレコードの種類の説明がなされた。SPレコード、LPレコード、EPレコード、ソノシートなどである。音楽はもちろん、中にはアニメの効果音であったり英語の教材であったりと様々な用途で使われている。アナログレコードには何番目に製造されたものか分かるように一枚一枚ナンバリングがされているため、番号の数字が少なければ少ないほど音の質は高く重宝される。エンジニアが気に入ったアナログレコードにはエンジニアの刻印が刻まれることもあり、それを目当てにアナログレコードを探すこともあるそうだ。
 次に行われたのが、アナログレコードとCDとMP3との音の聞き比べである。その違いは明確であった。CDとMP3はアナログレコードと比べると硬さが感じられ、無機質で角のあるような音だった。逆にアナログレコードは、丸みやライブ感を感じることができた。
 時代の必要性に応じて形を変えてきた音の保存方法。過去があるから今があるという普遍的なことを考える良い機会となった。まだアナログレコードの音を聴いたことのない人は、ぜひともアナログレコードに針を落とし、じっくりと聴き込んでみて欲しい。
 今回、講師を務めたDJ TAIKAI氏は、4月8日に開催されるNOAH College「今から始めるDJスタイル講座」でアナログレコード、CD、MP3などを使ってのデモンストレーションやミックスCD作成のレクチャーを予定している。次回も、未来への布石になる過去と現在の融合の場となることを期待している。

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講師:DJ TAIKAI aka AWT25プロフィール:
 DJで音楽を始める。DJ、楽曲制作、演奏、プロデュース、アレンジ、REMIX、TRACK/楽曲提供など、様々な活動を展開中。近年は、六本木ROOTSNで始まり現在も活動するCOFFEE&CHIGARETTES、恵比寿MILKでのレギュラーパーティーから始まり現在も野外フェスと発展し活動するA MAN OF SPACE AGE、など多数のイベントにDJとして参加。DJ TAIKAI aka AWT25名義でMIXCD/REMIX/TRACK制作、映画、広告への楽曲提供。KEY/SYNTHESIZER、SAMPLER、CDJの演奏で多数のバンドに参加。クラブミュージック目線で様々な活動を行う。

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