2025年02月07日
バンド
アナログシンセサイザーとデジタルシンセサイザーの違いとは
▪︎はじめに
シンセサイザーとは、電子回路を用いて音を作るエレクトリック・キーボードです。
シンセサイザーという名前は、「synthesize(合成する)」からきており、その名の通り電気のもつ波を変換して、一から好みの音を作り出せる点が最大の特徴です。
シンセサイザーには大きく分けて「アナログシンセサイザー」と「デジタルシンセサイザー」のふたつがあります。
今回はそれぞれの特徴や違いについて解説していきます。
▪︎アナログシンセサイザー
アナログシンセサイザーの代表格として、モーグ社から発表されたモジュラーシンセサイザーがあります。1960年代に発売されてから1980年代まで音楽業界の第一線で活躍しました。
デジタルの波及にともない年々生産数が減少していくことになりますが、今もなお、その音質を好む方やヴィンテージ品としてこだわりを持つ方々に愛されています。
アナログシンセサイザーは「音声信号を担当する回路」「制御信号を担当する回路」の2種類の回路を搭載しており、これらを駆使して音作りを行います。
音声信号を担当する機能は、「VCO」「VCF」「VCA」の3つがあり、それぞれの機能をオシレーター(音の波形)を元にコントロールしていきます。
VCO(Voltage Control Oscillator):基本の波形を作る発振器の役割。アナログシンセサイザーでは、のこぎり波・矩形波・パルス波・三角波などの倍音を含む波形をおもに使用します。
VCF(Voltage Control Filter):波形を加工する回路。ハイパスフィルター、ローパスフィルターなどを組み合わせて音を作ります。
VCA(Voltage Control Amplifier):音量をコントロールする機能。
この3つの機能を用いて音色・音程・音量を制御します。
制御信号を担当する機能は、おもに「エンベロープ・ジェネレーター」「LFO」「鍵盤 or シーケンサー」の3つです。
エンベロープ・ジェネレーター:Attack(立ち上がり)、Decay(減衰)、Sustain(減衰後の保持)、Release(余韻)の4つのパラメータを用いて時間的変化を作り出します。
LFO(Low Frequency Oscillator):低い周波数を音声信号の制御回路に送り、周期的な変化を加える機能です。例えば、VCOに加えるとビブラート、VCAに加えるとトレモロになります。
鍵盤 or シーケンサー:演奏情報を入力する機能。VCOとVCFに電圧を供給し、音程や音質の加工を行います。また、エンベロープ・ジェネレーターに演奏のONとOFFを入力することで、そのタイミングに合わせて設定された時間的変化をVCAに送り制御しています。
▪︎デジタルシンセサイザー
1980年代に発売されてから、アナログシンセサイザーよりも使いやすく、かつリーズナブルなため、多くの人が作曲などに使用するようになりました。
デジタルシンセサイザーはその名の通り、デジタル信号処理の技術を使って音声信号処理をするシンセサイザーです。そしてデジタル処理された音声信号は、デジタル−アナログ変換(D/A変換)の回路を通してアナログ信号として出力されます。
また、現在ではほとんどのものに多くのソフト音源が標準搭載されており、初心者でも手軽に楽しむことができます。
デジタルシンセサイザーの音源方式は、おもに「FM方式」「PCM方式」「PD方式」の3つです。
FM方式(Frequency Modulation):周波数を変調する方式。元の波形に異なる周波数の波形を加えることで目的の音を作り出します。
PCM方式(Pulse Code Modulation):もともと記録してあるPCM波形を再生する方式。サンプラーと同じような役割。
PD方式(Pulse Distortion):オシレーターの位相を歪ませて波形を合成する方式。
その他の音源方法も存在しますが、おもに上記の3種類、とくにPCM方式が多く使われます。
▪︎それぞれのメリット、デメリット
それぞれの違いを見ていきましょう。
まず、操作性の難しさについてはアナログシンセサイザーの方が難しく、デジタルシンセサイザーの方がプリセット音源も多く初心者でも扱いやすいです。しかし、アナログシンセサイザーは操作性こそ複雑で構造の理解や技術が求められますが、一から音作りを楽しむことはアナログシンセサイザーならではのものでしょう。
また、価格に関してもデジタルシンセサイザーの方が比較的リーズナブルな機種が多いです。
キーボードを始めたばかりの方はまず手の出しやすいデジタルシンセサイザーから始めて、その後より深く音作りをしてみたくなったときにアナログシンセサイザーを視野に入れてみるのがおすすめです。
▪︎最後に
いかがでしたか?
ひとえにシンセサイザーといっても大きく分けて2種類のものがあることがわかっていただけたかと思います。
それぞれ違った良さがあるので、ぜひシンセサイザー選びの参考にしてみてください!