音楽コラム集|スタジオマンが教える豆知識
2013.12.26
現在作られているポップス、ロック等の音源では、多くの場合、ボーカルが主役となっています。なので、ボーカルレコーディングは、レコーディング全体において、最も重要な過程であると言えます。 マイクセレクト ボーカルは、1人1人声質が大きく異なります。ある人の声には相性の良いマイクも、ある人の声には最悪の相性である可能性があります。また、音源によってはボーカルだけが目立ち過ぎてしまう、ということもあるので、どんな場合でも最善の音が録れるマイクはありません。ですから、「ボーカルには、このマイク」と割り切って決めてしまい、不満があれば変更するというやり方が良いかと思います。 セッティング ボーカルはオンマイク(注:マイクとの距離が近いこと)で収音するため、少しのセッティングの違いで大きく音質が変わってきます。 さらに、ダイアフラムの向き、距離によってはポップノイズが多く出てしまいます。向きは真正面から狙うと口からまっすぐ出てくる音を1番自然に拾えますが、息もまっすぐかかってしまうので「ぱぴぷぺぽ」等の破裂音を発声したときにノイズになりやすくなってしまいます。少し上から角度を付けるなどをすれば直接息がかかってしまうことはありませんが、マイクの位置を正面にするのではなくダイアフラムの向きを口に向ける注意が必要です。ダイアフラムがきちんと口に向かっていないと、大きく音質が変わってしまいます。 マイクとの距離は、目安としてマイクから拳1つ分程度の距離をとるのが一般的です。ただし、ウィスパー系等表現が細かいときは距離を近く、シャウト系等極端に声量が上がる場合は距離を遠くする等、工夫が必要になります。 レベル調整 ボーカルは、極端にダイナミックレンジが広い楽器と考えられます。例として、Aメロ→Bメロ→サビという構成のバラードの楽曲があるとします。このような構成の楽曲は、多くの場合、Aメロは静かで落ち着いていて声量が小さく、Bメロに入ると徐々に声量が上がっていき、サビでピークを迎えるという流れになります。これをそのまま一定のレベルで録音してしまうと、Aメロは聞き取りづらい小さな音量、サビは歌が大きく聴こえるバランスの悪い音量になってしまいます。 これを録音時に緩和させることで、録音時のアーティストへのモニターバランスも良くなります。単純にフェーダー操作で音量の大小を操作するのも有効ですが、失敗してしまうと取り返しが付かなくなる恐れもあるので、多くの場合コンプレッサーというエフェクターを使用します。(後編に続く)
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