ジャズやブラスバンドに欠かすことができないほど代表的な楽器、サックス。
そんなサックスの音に魅了されて音楽を始めた方もいるでしょう。
そんなあなたの人生のように、楽器一つ一つにも歴史が存在します。
さて、サックスにはどんな歴史があるのでしょうか。
サックス正式名称サクソフォンは、楽器の中では、唯一発明者が明確な楽器として有名です。
発明者の名は、アドルフ・サックス(1814~1894)です。
発明者の名前から楽器名が命名されたようですね。
彼は、ベルギー生まれで、自身も多くの吹奏楽楽器を演奏することができたと言われています。
もともとは新しいバス・クラリネットの開発をしようと試みていました。
その中で、木管楽器の良さと金管楽器の良さを併せ持った楽器が作れないかと考え、1840年ごろにサクソフォンを考案しました。
最初は、「金属でできたコントラバス・クラリネット」として、ベルギーの博覧会で紹介されました。
「サクソフォン」と命名されたのは、1846年にフランスのパリで特許を申請してからです。
サックスは、ほかの楽器と比べても歴史が浅いです。
発明された当時盛んであった軍楽隊の中で使用され、次第にオーケストラ曲の中にも取り入れられました。
有名な曲では、G.ビゼーの「アルルの女組曲」や、M.ラヴェルの「ボレロ」、「展覧会の絵」等があります。
ヨーロッパでは、徐々に認知度も高まっていきました。
そして、世界的に普及した最大のきっかけが、ジャズで用いられるようになったからだと言われています。
ジャズ発祥の地アメリカにサックスが渡り、1920年代にジャズに用いられ、大活躍したことから世界的に広まっていったのです。
サックスは金属製ではありますが、フルートやハーモニカと同様に木管楽器とされています。
発明当初、木でできていたからではありません。
サックスは、発明された当初から真鍮(金属)製です。
形は、円錐形をしており、ボディ(本体)、ネック、マウスピースの3つに分けられます。
マウスピースに、木管楽器のクラリネット同様にシングル・リード(1枚のリード)を取り付けます。
楽器の分類では、材質よりも機構が優先されるため、発音原理からフルートと同様に木管楽器に分類されているのです。
現在では、主にソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスの4種類が使われています。
中でも一般的なのは、アルトサックスになります。
音色の変化がつけやすく、高いスタンダード性から多くの音楽ジャンルに適合することができ、クラシックにおいてのサックス協奏曲でもアルトサックス用の楽曲がほとんどです。
アルトサックスに次いで多く使用されているのが、テナーサックスです。
アルトサックスよりも大きい分、肉厚で男性的な音色を持つことから、ジャズシーンにおいてはアルトサックスよりも強い存在感を放ちます。
ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズなどジャズの名匠達も、テナーサックスを愛用していました。
バリトンサックスは、4種類の中で一番大きく、低音を担当するサックスです。
吹奏楽・アンサンブル・ビックバンドなどで主に使用され、豊満な低音でバンドを支える役割を担っています。
伴奏楽器での使用が多いですが、ジャズシーンではジェリー・マリガンなどバリトンサックス奏者によるソロ曲も多く存在します。
ソプラノサックスは、4種類の中では一番高音であり、甘く柔らかな音色が特徴の直管のサックスです。
吹奏楽曲では、基本編成に入っていないため、あまり見かけませんが、バンドでのソロ・アンサンブルでは、リーダーなどを任される非常に重要な楽器です。
サクソフォンは、現代では、クラシック音楽からポップス、ロック、ジャズに至るまで、様々な分野の音楽で用いられ、とくに吹奏楽やビッグバンドには欠かせない存在です。
そんなサックスの音を主張した2曲を、ぜひ聴いてみてください。
きっとあなたもサックスの虜になるでしょう。
https://youtu.be/lAhHNCfA7NI