音楽コラム集|スタジオマンが教える豆知識
2009.05.02
ハウってるとは? なぜハウるの? スタジオやライブ、はたまたカラオケで、スピーカーから「キーン」という高音や「ブーン」という低音が鳴って、耳が痛くなったことはないだろうか? このスピーカーから発振音が出る現象をハウリング(またはフィードバック)と呼ぶ。 そして、「ハウってる」というのは「ハウリングをしている」の略語である。 ハウリングは、かなりの大音量になることが多く、大切な耳を傷めたり、スピーカーの故障の原因となる。 なので、このハウリング世界からの脱出計画を一緒に練ろう! まず、ハウリングは、なぜ起こるのだろうか。次の図を見てほしい。 このように「マイク→ミキサー→パワーアンプ→スピーカー→マイク→ミキサー...」と音がループしてしまうと、ハウリングが起きてしまうのである。 ということは、音がループしないようにすればハウリングは防止できる。 上記の場合だと、スピーカーの音をマイクが拾ってしまうことからループが生まれているので、マイクがスピーカーの音を拾わないようにすればハウリングは防げるのだ。 「マイク→ミキサー→パワーアンプ→スピーカー」 ハウリングを防ぐ方法とは? マイクがスピーカーの音を拾わないようにすれば防ぐことができるとわかったところで、その具体的な方法を見ていこう! 【1】ボーカルは、できるだけスピーカーから離れる 【2】マイクがスピーカーのほうを向かないようにする 【3】マイクの頭部分を手で覆わない マイクの頭部分を手で覆うように持つと、パラボラアンテナのように周りの音をマイクに集めてしまいハウリングしやすくなる。 意外とやってしまう人が多いのではないだろうか。 【4】SHURE BETA 58Aを使ってみる SHURE BETA 58Aというマイクをご存知だろうか。 BETA 58Aは指向特性がスーパーカーディオイド(超単一指向性)で、世界的スタンダードと言われているSHURE SM58より音を拾う範囲が狭い機種なので、周りの音を拾いづらくできている。 両機種ともサウンドスタジオノアでレンタルが可能なので、ぜひ試してみてほしい。 さらに、マイクがスピーカーの音を拾うこと以外にもハウリングする原因がある。 以下、そのうちのいくつかを例にあげて、ハウリングを防ぐ具体的な方法を紹介。 【5】マイクを大きい音のするものから遠ざける 声に合わせて音量調節をしても、マイクが声以上に周りの音を拾ってしまうと、ハウリングする原因になってしまう。 ドラム、ギターアンプ、ベースアンプなど大きい音のするものからは、可能な限り離れてマイクを使用しよう。 【6】ミキサーのツマミは適正値で使う ミキサーのフェーダー(スライド式のボリューム)は、「U」(=「0」)以上に上げると、途端にノイズが増え、ハウリングしやすくなる。 フェーダーは「U」で固定し、音量調節は「TRIM」 (=「GAIN」)で行おう。 そして、もう一つ気をつけなければいけないのが、エフェクトリターンのツマミだ。 エフェクトリターンは、少し上げただけでノイズを発しハウリングしやすくなる。 エフェクタのかかり具合は、エフェクトリターンを「U」もしくはそれ以下の値で固定し、センドで調節するとよい。 【7】ミキサーのローカットボタンを使う 「ブーン」という低音のハウリングは、ミキサーのローカットボタンで防ぐこともできる。 カットするといっても、ほとんど音楽に関わりのないような超低音を軽減するので、リハーサルには影響しないのだ。 【8】グラフィックイコライザで防ぐ 使用しているマイクやスピーカー、部屋鳴りなどによって、ある特定の周波数からハウリングし出す。 したがって、グラフィックイコライザを使って、その1番始めにハウリングする周波数を抑えると、全体の音量をもっと大きくすることができる。 音量をさらに大きくしていくと、今度は別の周波数がハウリングを起こす。 そして、その周波数をまた抑える。 こうしてこの作業を繰り返していき、グラフィックイコライザでルームチューニングをしていくと、ハウリングしづらくなる。 ※サウンドスタジオノアでは、ほとんどすべてのスタジオで、このグラフィックイコライザを使った調節を行い、最適なリハーサル環境を用意している。 いかがだっただろうか? このほかにもハウリングを起こす細かい要素は、まだまだある。 スタジオ利用時にハウリングで困っている人は、サウンドスタジオノアのスタッフに気軽に相談してもらいたい。 音楽って、やっぱりすごい! ここまでは、ハウリングはリハーサルの大敵だという話をしてきたが、このハウリングを意図的に利用することもある。 エレクトリックギターのフィードバック奏法だ。 ギターアンプやエフェクタの音量を必要以上に上げ、さらにギターのマイクであるピックアップをギターアンプのスピーカーに近づけて、ハウリング音を出すのだ。 こんな一見邪魔としか思えないハウリングまで利用してしまう音楽って、やっぱり奥が深い!
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