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【コラム】音楽とお仕事 WEB限定特別版 「歌詞の重要性について」/西山 宏明(株式会社トイズファクトリー 制作部長/音楽プロデューサー)

2009.05.25

「歌詞の重要性について」ディレクターの本音  ポップミュージック作品では、重要な4つの要素があります。まずはメロディ、そして歌詞、さらにアレンジメント、最後に音響効果です。  今回は、「歌詞の重要性」について書いてみたいと思います。僕は、ディレクターになり始めの頃、いわゆる歌謡曲の制作をメインにやっていました。こういった制作は、今から思えば、、、特殊でした。ディレクターは感性を磨いて、今の時代のどういう部分に切り込む作品で、どう世の中に勝負するのか!?というのを、常に制作作品ごとにエッジ・オブ・ナイフな感じで迫られていたのです。もちろん、歌い手さんのイメージありきの発信ですが。  そこで重要なのが、言葉のメッセージ性です。メッセージ性というのは、いわゆる「歌もの」なら歌詞。そして、タイトル。この部分が人のココロに届いて、何かしらひっかかり、人のココロを動かす。そういった思いを込めて、身を削って制作をしていたのです。私は若造でしたが、ベテラン作詞家の方とも、かなり生意気なやり取りをしていたりしました。  まず、誰が、誰に向かって、それは男性なら何歳くらい、女性なら何歳くらい、独り身なのか、恋人がいるのか、倦怠期なのか、恋愛絶頂なのか、喜怒哀楽のどれなのか、どの程度の感情の振り幅なのか、色はどんな色のイメージなのか、昼なのか、夜なのか、夕方なのか、明け方なのか、部屋なのか、バーなのか、街頭なのか、季節は春夏秋冬どこなのか、何月なのか、最終地はどう落ち着くのか、、、どんなエンディングなのか。考えれば、考えるほど、イメージが広がるし、ドラマ性が生まれてくる。今風に言うならロールプレイングみたいなものです。フィクションでも、一部がノンフィクションならリアルです。  こんな打ち合わせを、作詞家の方と延々とやり続けながら、夜を明かしていました。今は、アーティストに対して、「こんなテーマなら聴いてみたいなぁ」と、かなり!?言い方が変わってきていますが、それでも、相当話しこみますね。  音楽はもちろん、まずはメロディ。でも、邦楽を聴くなら、「一行でも、人生が変わる」、そんなフレーズがあっていいんじゃないかと、僕は思うのです。ふっと、耳に入ったメロディと言葉。それが、聴く人の身体とココロに滲み込む。ココロが動いて、その人なりの何かに化学反応する。音楽という総体は、ただ届くだけではダメ。どんな風に、どの深度で、届いたか。これが、究極の物差しだと思うのです。  だから、オリジナルを作る皆さんも、作詞、そしてタイトル付けには、ものすごく気を使ってもらいたいのが、僕の本音です。書籍の単行本くらい興味が惹かれるようなすごいタイトルなら、聴く前からドキドキするのでは!?デモを送る際も、歌詞とタイトルに、ひと工夫もふた工夫もすると、受け手側はグッとくるはずです。 nishiyama.jpg ■西山 宏明(株式会社トイズファクトリー 制作部長/音楽プロデューサー) 数々のヒット作品の制作を手がける企画/演出プロデューサー/ディレクター。 素晴らしい才能に出会うのに、僕はジャンルは問いません。いつでもデモを送ってください。一生懸命に聴きます。応募は、下記のブログからチェックを!! 公式ホームページ「渋谷ではたらくディレクターのblog」 http://ameblo.jp/n-shy