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音楽コラム集|From アメリカ

【コラム】最先端を行く音楽の都"Los Angeles"  第2回「 成長するために概念を捨てる」

2019.05.22

【コラム】最先端を行く音楽の都"Los Angeles"

第2回「成長するために概念を捨てる」

2012年6月〜7月の2ヶ月間のお試し期間を経てアメリカに住むことを決め、8月〜9月の間に学生VISAを取得。 そして、2012年の10月からアメリカでの学生生活がスタートしました。 僕が通っていたのは、ごく普通の語学学校。 音楽とはまったく関係のないその語学学校での生活ですら、音楽にも役立つ、そして人生にも役立つ大事なことをたくさん学びました。

・授業は真剣だけど、その空間は楽しい

授業中にアメをなめようが、ガムを噛もうが、飲み物を飲もうが、おなかすいたからピザを食べようが、授業にしっかりAttendし、姿勢を授業に向けていればOKというルール。 そういう文化の違いをアメリカに来る前に聞いたことはありましたが、改めてそれを経験すると、ただ単に"アメリカは自由だっ!"ということではなく、"授業に集中しやすい環境を自分で作れる自由がそこにある"ということを身をもって体感したのです。 こういったマインドセットが、何かを「学ぶ」というプロセスにおいて本当に大事で、学習したあとの成長率もまったく異なると感じました。

・多国籍な生徒達の中で学ぶ

僕のクラスには、中国人、韓国人、台湾人、ブラジル人、サウジアラビア人がいました。 お互い同じくらいの英語力なので、プレッシャーもなく、最初は本当につたない英語でしたが、少しずつ会話が成り立っていき、一緒に成長していくことも達成感や自信に繋がり、とにかく新鮮でした。 サウジアラビア人の生徒達は、Ramaḍān(イスラム暦の9月)の1ヶ月間は、日の出から日没まで断食をします。 授業中に先生からクッキーの袋が回ってきても、もちろん手に取りません。 中国では、Facebook、Twitter、Instagramを国が禁止していて、インターネット規制が本当に厳しい国です。 韓国では、皆さんご存知の通り兵役があります。 ブラジルの貧困問題やその他の国で起こってることなどを本人達から聞いて知れば知るほど、自分が生まれ育った日本がどれだけ恵まれていて安全が確保された国であるかがよく分かりました。 そして、このようなカルチャーショックにより、日本で育ち日本人の概念でしか物事を判断できなかった自分が、いろんな国の価値観を知り、それが良い悪いではなく"個性"であることに気付き、僕の中の"概念"がどんどん壊され、どんな相手にもリスペクトを持つことを学んだのです。

・心を開く魔法の授業

2012年の10月〜2015年の10月くらいまで続けた学生生活。 この3年間で3回転校しましたが、必ずどこの学校にもあった授業、それはプレゼンテーションでした。 自分の好きなことのトピックを一つあげ、自分でそれについて調べ、ホワイトボードや自分で作ってきたコルクボードまたはプロジェクターを使って、与えられた時間内で人前で発表するという授業です。 アメリカでは、小学生からこういった授業を行なっています。 人前でプレゼンすることによって、自然と話したいことを話せる能力が付き、自分で考える力が養われ、表現力、個性、人が本来大事にしなければならない"自由"を子供の頃から教育しているのです。 そして、当たり前ですが、アートという分野にも、こういった自由が守られた教育が子供の頃からなされてるか否かで、表現力や発言力に大きな違いが出てくるのではないかという気持ちに至りました。 それはそれは、今後の自分のマインドセット、根本的な物の見方を見直す良い機会になりました。 続く。 第3回を読む 【Profile】 Yuki "Lin" Hayashi 1983年生まれ、千葉県出身。音楽学校にて、Jazzセオリーを学ぶ。2005年、バンドでメジャーデビュー。バンド脱退後、2006年から2012年まで東京でスタジオミュージシャンとして活動。K、寺岡呼人、Nokko、久保田利伸、小柳ゆき、植村花菜等と共演。様々なアーティストのレコーディング、ライブやツアーに参加し、2012年10月からLos Angelesに拠点を移す。2015年から現在まで、毎週月曜に行われているLAで最も人気の高いライブミュージックイベント「SuperSoul Monday」のレギュラーベーシストとして参加中。デトロイト出身のシンガーソングライター/プロデューサーのJMSNが2016年にリリースしたアルバム『It Is』と2017年リリース『Whatever Makes U Happy』にベースで参加し、その後アメリカツアー、ヨーロッパツアー(ポーランドのOpener' FestivalとイギリスのGlastonbury Festivalを含む)、そしてアジアツアーに参加。そのほか『Loud As Funk』という名の自身のバンドで、毎週日曜にJam Sessionを開催。2014年からスタートしたそのJamも、今では世界のトッププレーヤーたちが集まる注目のミュージックスポットになっている。 アメリカでの共演Artist: JMSN (Live, Tour, Recording) Melanie Fiona (Live) Mario (Live) Amber Navran from Moonchild (Live) Tisha Campbell (Live) John Mayer (SuperSoulMonday special guest) Thundercat (SuperSoulMonday special guest) Earth Wind and Fire (Album release party at Xen lounge) Chanice (Live) Michel'le (Live) Chritopher Williams (Live) Tom Browne (Live) Elijah Blake (Recording) Kamasi Washington (Live) Leona Berlin (Tour) Twitter https://twitter.com/linbassman Instagram https://www.instagram.com/linboy363636/