音楽コラム集|音楽知識系コラム
2009.07.22
#4:アメリカ英語じゃない英語 バークリー音大時代、「私の話す英語はどんなレベルか?」という質問をアメリカ人にしたら、「アメリカの英語ではないが、まあ、ちゃんとした英語だ」というお答え。アメリカ英語が英語のすべてだと考えている人にとっては、ちょっと不思議な回答かもしれませんが、この発言の鍵は英語の多様性にあるわけです。つまり、日本語における「共通語」対「方言」のような区分はもちろん英語においても存在するけど、それが単純に「共通語」が偉くて「方言」のほうが恥ずかしいということではない、ということです。 これは単に、中国人の話す英語は中国語訛りだということではなく、イギリス、アメリカ、ニュージーランド、インド、ジャマイカ、香港で使われている英語は、共通点は多いものの一種独立したものとも見なされ得るということです。日本の学校教育では、アメリカにおいて一応の共通語と見なされている英語を教えているのでしょうが、そこで教えている英語がさまざまな英語の多様性を扱いきれないことは容易に想像できます。だからこそ、吹き替えなしのアメリカの映画を見ても、そこで使われている語彙や言い回し、文法が全く理解できない、ということにもなってしまうのでしょう(アメリカ国内の社会/民族グループの文化の違いがあるので)。 最近、アジア系の国連職員たちがよくニュースに登場していますが、彼らの話す英語はいわゆるアメリカ国内の共通語としての英語とはほど遠いものに聞こえます。しかし、別にそれで問題があるわけではないのですね。仕事の場で、日本人がみんなイギリス英語で話したら、アメリカ人のコンプレックスを刺激して面白い議論・交渉ができるような気もします。ということで、アメリカ人風にならなくても自信を持って英語で話してみたらどうでしょうか? ■鈴木 koyu 浩 東北大学文学部哲学科卒業後、アメリカのバークリー音大へ。その後シカゴのアメリカン・コンサーバトリー・オブ・ミュージックでベースを教える。帰国後、東京でさまざまな外国人ミュージシャンと共演。今年は池ノ上にあるバー・PRAHAでのベースソロ&デュオ(月1回)とハウスダンスユニット、SYMBOL−ISMとの代々木ANCEでのプロジェクト(こちらも月イチ)を中心に。
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