音楽コラム集|音楽知識系コラム
2015.07.04
今回は、テレビの視聴率についてお話ししたいと思います。 先日、朝日新聞にこんな記事が載っていました。「視聴率よりも録画再生率? 揺らぐ人気指標」というタイトルで、1960年代以降、テレビ局が採用している視聴率についての記事です。それによると、番組の人気を測る視聴率が、テレビの見方の多様化で、曲がり角を迎えているようです。リアルタイムに番組を視聴している世帯の割合を表すのが視聴率ですが、そのデータでは録画再生率は測れません。最近は、録画して自分の見たい時間に視聴するのが当たり前になっているわけですから、視聴率というデータは、実際に視聴されている数字と開きが出てきてしまいます。 そのことについては、過去何度もテレビ局の間で話し合われていますが、なかなか視聴率に変わる新たな方式が出てこないのが現状です。なぜ難しいのかというと、視聴率が、企業がCMを出す際の「広告指標」になっているからで、録画したものを視聴している場合、CMをカットしたり飛ばされたりしてしまうケースが多いためです。 視聴率の1%は、およそ18万世帯、40万人と推定されています。テレビを視聴する人が以前より減ったとはいえ、広告媒体としては魅力的な数字です。民放のテレビ局は、主に企業に番組スポンサーとしてついてもらうこととCMの広告収入で成り立っています。企業から見れば、当然視聴率の高い、つまり多くの人の目にとまっている番組で広告を流したいわけです。ちまたでよく言われている、視聴率の三冠とは、午前6時から午前0時までの 「全日」と、午後7時から10時までの「ゴールデン」、午後7時から11時までの「プライム」の3つの時間帯で1位になることです。ですから、三冠を達成した局で、企業もCMを流したいわけです。さらに、どの世代の人が多く見ているかによって、流れるCMも違ってくるわけで、BS系のゆったりした番組に健康食品系のCMが多いのも、視聴している世代を意識したものと言えるでしょう。 近頃では、スマートフォンやタブレット端末といったものの急速な普及によって、テレビも転換期を迎えています。民放各局の広告収入の伸び悩みは深刻で、そのまま制作費の削減につながってきています。企業もCMの制作費を抑える傾向が続いていて、昔だったら有名な俳優さんを使っていたのに、最近は名前の知られてない人を起用するのも、その辺りが原因のようです。 中島 克(なかじま まさる) 有限会社サウンド・デザイン・キュービック代表取締役。1985年、東京サウンドプロダクションを退社後、キュービックを設立。TSP在籍時には、テレビ朝日「川口探険隊」の選曲を担当。独立後は、「警視庁24時」「驚きももの木20世紀」「星新一のショートショート」などの番組も担当した。現在は、「美の巨人たち」「THE追跡」「Song to Soul」など楽曲制作も含め幅広く活動している。 [サウンド・デザイン・キュービック ]http://www.cubic-power.net
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