音楽コラム集|音楽知識系コラム
2010.02.08
昔からTVCMにおいて、アーティストの新曲や書き下ろし楽曲が流れるタイアップCMが、たくさんオンエアーされてきました。古くは、矢沢永吉の「時間よ止まれ」(資生堂)や山下達郎の「クリスマス・イブ」(JR東海)など、時を超えて心に残る、実にドラマティックな作品が制作されてきました。 しかし、最近は以前ほど十分なタイアップ効果が発揮されていないCM作品が多い気がします。 タイアップ案件の多くは、レコード会社の宣伝マン(各社敏腕揃い!)から、広告代理店のキャスティング部門やCM音楽プロダクションに持ち込まれます。逆もよくあります。その後、私たち音楽プロデューサーを中心に、監督やCMプランナーと共に企画をまとめていきます。 楽曲を選ぶときに「企画とマッチしているかどうか」つまり「テイストの一致」が最優先にチョイスされれば良いのですが、広告制作には時としてさまざまな広告事情が伴います。場合によっては「テイストの一致」よりも、「アーティストは有名か?」「売れそうな楽曲か?」など、企画を無視した情報が優先されることも少なくありません。 この情報は一見、クライアントにとって最も有益な情報であるかように見えます。でも実は、一番大切なのは企画との「テイストの一致」だ、と僕は考えます。楽曲の雰囲気や歌詞の世界観など、CM企画との親和性が高くなればなるほど作品のクオリティが上がり、人々の心に残るCMとして話題になっていくことでしょう。これに加えて、話題性のあるアーティストの、しかも売れそうな楽曲であれば、さらに話題になる可能性は増していきます。 本当に良いCMタイアップとは......1に、良い企画! 2に、企画と楽曲の親和性! 3に、アーティストとクライアントのイメージ! これら3つがそろって初めて、CMは話題になり、商品は売れ、新曲も売れ、クライアントもアーティストも相乗効果でイメージアップできる。これぞまさに広告キャンペーンの醍醐味ではないでしょうか。 昔の人は、作品作りのために情熱を持って取り組んでいました。現在のこんな時代であっても、熱意と情熱を忘れず、企画の実現に向けてスタッフ一丸となって作品作りに取り組む。そんなプロジェクトに関わると、僕はちょっぴり幸せな気分になれます。 今年もそんなプロジェクトに一件でも多く関わることができるよう、元気にやっていきたいと思います。みなさまどうぞよろしくお願いします! では! マサハラタニ Gibsonブルースギターコンテストグランプリ受賞。数々の音楽ワークに携わった後、CM 音楽プロデューサーに転身。代表作は任天堂DS、ミツカン酢など。作編曲や歌手、ギターインストラクターとしても活躍中。 http://jp.myspace.com/masaharatani
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