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音楽コラム集|音楽知識系コラム

【コラム】ミュージシャンのための英会話 #12「Hit It!」

2011.10.24

アメリカ(バークリー音大)生活も2年目に入ったころ、学外でのバンド演奏へのお誘いをいろいろいただくようになりました(多いときは月20回近くライブ)。英語力もだいぶアップして、授業の内容はだいたい分かるようになっていたころです。 携帯電話のない時代、連絡方法の主流は留守番電話だったのですが、そこに残されたメッセージが聞き取れなくて苦労しました。授業で使われる「きちんとした」英語ではなく、若者同士の「くだけた」話し方だったからだと思われます。とくに「〜番に電話をくれ」というメッセージの場合、留守電を何度も聞き直して、一つずつ数字を聞き取らなければなりませんでした。 英語に関してもっと大変だったのが、演奏中の指示。曲を演奏している最中にボーカルがやってきて、耳元で何か囁きます。おそらくは、「ソロの後、サビに戻るよ」とか「次の曲に続けて入るよ」なんていうことを言われていたはずなのですが、演奏に気を取られていたり、あるいはバンドの音量が大きすぎたりすることもあって、聞き取ることがほとんどできませんでした。その結果、指示通り展開できずに怒られることも何度かありました。 オン・ザ・ジョブ・トレーニングということで、実際の演奏活動の中でいろいろな英語を覚えていきました。そのような日々のなか習得した英語のフレーズの中で、今回ご紹介したいのは「Hit it!」。最初に聴いたときは何をどう打つ/殴るのか、と思いましたが、これは「演奏を始めろ」という意味なのですね。たとえば曲の前、お客さんに対していろいろ話しかけていたボーカルが「Hit it!」とバンドに対して言ったならば、バンドは演奏を始めなくてはならないということです。発音はカタカナで書くと「ヘデ!」が一番近い感じですかね。ファンクバンドのライブ・アルバムを聴くと、このフレーズに出くわすかもしれません。 Hitにはいろいろ面白い用法がありますが、最近Facebook上でもらったメッセージで、「Hit me up」という表現がありました。これは「連絡をくれ」という意味です。面白いですね。 ◆ BGM:イアン・デューリー&ブロックヘッズ「Hit Me With Your Rhythm Stick」 koyu125.jpg 鈴木 koyu 浩 黒人音楽から現代音楽までの領域で活動するベース奏者でプロデューサー。バークリー音楽大学入学を機にアメリカへ。その後のシカゴ生活を含め合計6年間滞米。98年より東京で活動。日本在住の外国人ミュージシャンとの共演、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド等海外公演多数。これまでの演奏についてはYouTubeのチャンネルを参照のこと。ノアミュージックスクール・ベース科講師。 www.youtube.com/koyubass