音楽コラム集|音楽知識系コラム
2012.01.05
先日、沖縄でさまざまな音楽初体験をしてきました。とくに、那覇の国際通りにライブハウス"Ohana"を構える喜納啓子さんの歌と演奏は、強烈な印象が残りました。持ち前の鼻を利かせてOhanaに飛び込みで入ってみたところ、ほどなく聞こえてきた良質のオキナワンポップスと、芸能を知りつくしたステージングにすっかり魅了されてしまいました。 喜納啓子さんは、世界的に知られるヒット曲「花〜すべての人の心に花を〜」を歌った喜納昌吉さんの妹さんで、現在もファミリーバンドを中心に積極的にライブ活動をされています。ライブ後、啓子さんと話が弾み、音楽やメンバーのこと、家族のことなどを話したのですが、会話の中で啓子さんは、「今の日本のヒットチャートは、海外ポップスとアイドルたちが大半をしめ、本当にいい音楽が聞けなくなっている」と残念がっていました。 私もまったく同感で、以前の日本には、世代を超えて愛されてきたヒット曲が数多く存在していました。ところが今のヒットチャートでは、エンタテイメントが重視されたグループが人気上位を占め、昔から愛されてきたメロディと歌詞が重視されたタイプの曲やアーティストが影を潜めてしまっています。ヒットを量産する今の音楽業界が、果たして本当に豊かな文化を生み出していると言えるのだろうか。今の音楽業界全体で考えていかなくてはいけないことだと思います。...こんな調子で私の話もエキサイトし、沖縄の夜は更けていきました。 沖縄には、今も世代を超えて歌い継がれるスタンダード曲が数多く存在し、新しいヒット曲も誕生しています。豊かな風土と海からの恩恵を受けた人々が生み出す音楽には、多くの人の心を惹きつける魅力が漂っています。本当の意味での豊かさを知っている気がします。沖縄には、日本の音楽業界の低迷期を乗り越えるヒントがまだまだ隠されているのではないでしょうか。 マサハラタニ Gibsonブルースギターコンテストグランプリ受賞。数々の音楽ワークに携わった後、CM 音楽プロデューサーに転身。代表作は任天堂DS、ミツカン酢など。作編曲や歌手、ギターインストラクターとしても活躍中。 http://jp.myspace.com/masaharatani
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