音楽コラム集|音楽知識系コラム
2012.04.12
「効果音を付けてみよう(その1)」 前回は、映画とテレビの音付けの違いについてお話ししました。今回は少し具体的なシーンに音を付けてみましょう。 題材は朝8時の目覚めのシーンです。 窓の向こうで鳥が鳴いています。シジュウカラでしょうか、スズメでしょうか、冬だったらヒヨドリもいますよね。沖縄と北海道では鳥の生態も違うわけですから、あらかじめそんなことも調べておかなければなりません。ほかに遠くで聞こえる都会の音など部屋の中の音いわゆるベースノイズを付けます。これは、お化粧でいうところのファンデーションです。これから付けていくSE(擬音)のノリをよくします。それともう一つ、ビデオの場合、あらかじめ入っている同録の音が、編集することによってブツブツになってしまいます。そのアラを隠すのも大事な役目です。 そして、目覚ましが鳴ります。電子音なのか、メッセージなのか、昔のベル音なのか、はたまた柱時計が鳴ったのか。どんな音を付けるかは、時代やその人の趣味嗜好も表現することになります。 次の音が結構ポイントになります。なんだと思いますか? 目覚ましが鳴ったときのことを考えて見ましょう。 それは、布団の中でモゾモゾするSE。正解した人は、音効さんのセンスがバッチリあります。なぜ、この音がポイントになるのでしょうか。それは、初めて人の存在を表現するからです。鳥が鳴いたり目覚ましが鳴ったりするのは、別に人の存在とは関係のない、いわば環境音です。もしかしたら、その部屋にはだれもいないかもしれない。その音の流れの中で、初めて主人公が登場するわけです。モゾモゾした音なのか、ガバっと布団から起き上がった音なのか、どちらにしろ、その音を付けることで、そのシーンのリアリティは格段に上がります。 効果音の付け方のコツは、見ている側の耳線(目線に対して)の流れをどう作るかにあります。まず最初に、外の空間をイメージさせる。今回は、始めに鳥の声を付けましたが、遠くを走る電車の音からでもかまいません。そして、部屋の中に移動したところで目覚ましの音が鳴り、見ている側にもビックリ感を味わってもらう。そして主人公が登場するわけです。 中島 克(なかじま まさる) 有限会社サウンド・デザイン・キュービック代表取締役。1985年、東京サウンドプロダクションを退社後、キュービックを設立。TSP在籍時には、テレビ朝日「川口探険隊」の選曲を担当。独立後は、「今夜は好奇心」 「驚き桃の木20世紀」などの番組も担当した。現在は「星新一のショートショート」「美の巨人」など楽曲制作も含め幅広く活動している。 [サウンド・デザイン・キュービック ]http://www.cubic-power.net 「ハナばあちゃん!! オリジナルサウンドトラック」価格 1,500 http://odate-movie.jp/hana
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