音楽コラム集|音楽知識系コラム
2012.04.12
「あすという日が」〜被災地からのメッセージ〜 昨年も高視聴率を記録した、NHK紅白歌合戦。 今回は、その紅白の個人的なベストワンをご紹介しましょう。 「あすという日が」という曲をご存知でしょうか? 「涙そうそう」でヒットを飛ばした夏川りみさんと「千の風になって」でヒットを飛ばした秋川雅史さんの2人がデュエットで歌った曲です。コーラス隊の荘厳な雰囲気もすばらしく、紅白歌合戦で初めて聴いたこの曲に年末年始は感動しっぱなしでした。 この「あすという日が」は、2006年に合唱曲として作曲され、全国の生徒達に卒業ソングとして親しまれてきました。昨年、仙台市のある中学校の生徒達がこの曲を合唱コンクールで発表するために練習を重ねてきましたが、本番直前、先の大震災が発生。福島市で開催される予定だった声楽アンサンブルコンテストの全国大会が中止となり、歌を披露する機会を失ってしまったのです。 そんな中、避難所となっている学校の体育館で、被災者支援を兼ねて合唱コンサートを行ったところ、「勇気づけられた」など大きな反響を呼び、他の避難所でもコンサートを開くようになりました。やがて、その姿がテレビで放映されるなど話題となっていったそうです。同じ年の秋には、夏川さんと秋川さんがそれぞれの名義でCDをリリース。そんな2人が紅白歌合戦で共演。涙なしには聞けない名セッションが行われたのです。 この歌を聞いていると、生きることの素晴らしさを教えられます。そして、勇気がみなぎってきます。図らずとも、今の日本の人々の心をとらえ、多くの人々の気持ちに応えることができた現代のヒット曲と言えるのではないでしょうか。ぜひ一度聞いてみてくださいね。 マサハラタニ Gibsonブルースギターコンテストグランプリ受賞。数々の音楽ワークに携わった後、CM 音楽プロデューサーに転身。代表作は任天堂DS、ミツカン酢など。作編曲や歌手、ギターインストラクターとしても活躍中。 http://jp.myspace.com/masaharatani
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