音楽コラム集|音楽知識系コラム
2013.04.01
毎日、相変わらずの寒さで、喜んでいるのは風の又三郎ぐらい。でも、このペーパーがみなさんの手もとに届くころは、春の便りも届いているでしょう。 今回からは、音楽の話。ドキュメンタリー番組等の選曲についてお話ししていきます。 ところで、音楽には様々なジャンルがありますよね。クラシック音楽であったりジャズやロックであったり、Jポップ、テクノ、民族音楽などなど。 「音楽にジャンルなどない」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、使われている楽器やアレンジなど、それぞれの音楽に特徴があるのは事実です。選曲をしていくうえで、まず最初に考えるのがこの「ジャンル」です。作品全体のサウンドの統一感を作っておくことで、その作品のベースとなる響き、あるいは空気感みたいなものをおさえておくわけです。 演出家が苦労して作り上げた作品には必ず「色」や「におい」があります。なかなか表現し難いのですが、テーマとしているもの、ロケした場所(海辺であるとか北国であるとか)やその土地のサウンドスケープ、登場人物の性格、編集のテンポ、それらが一体となってその作品のカラーを作ります。その色やにおいを嗅ぎ分けることで、演出家と暗黙の了解のもと作業が進められるようになります。そして、先ほど言った、どのジャンルのどんなニュアンスの音楽で表現すると、その作品との間に化学反応を起こせるか、つまり面白い表現に繋がるのかを考えるわけです。 ですから、選曲をするうえで一番大事なことは、様々な音楽に精通していること。深くなくていいですから、広く浅くいろんな音楽の響きをストックしておくことです。嫌いな音楽はなるべく作らない。食わず嫌いは厳禁です。どんな音楽にも、その音楽が産まれた背景と歴史があります。風土やそこに暮らす人々の祈りや生き様みたいなもの、そこを理解すると嫌いな音楽はなくなるものです。 中島 克(なかじま まさる) 有限会社サウンド・デザイン・キュービック代表取締役。1985年、東京サウンドプロダクションを退社後、キュービックを設立。TSP在籍時には、テレビ朝日「川口探険隊」の選曲を担当。独立後は、「警視庁24時」「驚きももの木20世紀」「星新一のショートショート」などの番組も担当した。現在は、「美の巨人たち」「THE追跡」「Song to Soul」など楽曲制作も含め幅広く活動している。 [サウンド・デザイン・キュービック ]http://www.cubic-power.net
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